無印良品の「アールグレイ エッセンシャルオイル」、実はアールグレイの精油じゃない? 和精油のある暮らし ブログ

無印良品の「アールグレイ エッセンシャルオイル」、実はアールグレイの精油じゃない?

こんにちは。「和精油のある暮らし」の近藤です。

今日はちょっとアロマセラピストとして
「うーん……」となったニュースについてお話ししたいと思います。

無印良品さんから、アールグレイのエッセンシャルオイルが発売されたのですが、
この名前の付け方に、最初ニュースを見たとき、少し驚きました。今日はそのお話です。

音声はこちらからお聞きください。

YouTube動画はこちら

 

無印良品「エッセンシャルオイル アールグレイ」を見てみた

無印良品さんの公式サイトを見てみました。

アールグレイのエッセンシャルオイルは
どうやって作られているのだろうと思って確認すると、
「エッセンシャルオイル アールグレイ」という商品が10mlで1,790円。

いつも思いますが、精油としてはだいぶ手頃な価格です。

商品説明には、こう書かれています。

その土地の気候に合った花や木、果実などから抽出しました。ベルガモットが香る温かな紅茶でホッと一息つけるような、温かさと安らぎのあるシトラスハーバルの香り

ん?と思いました。

アールグレイというのは、そもそも紅茶ですよね。

紅茶にベルガモットの香り付けをしたものです。

だから「アールグレイのエッセンシャルオイル」と聞いたとき、
てっきり私は、アールグレイの茶葉を水蒸気蒸留して精油を取ったのか、
もしくは紅茶の茶葉を水蒸気蒸留して、
そこにベルガモットの精油をブレンドしたのかな、と思ったんです。



「仕様・サイズ」タブに、答えがありました

実際に、ホームページの「仕様・サイズ」というタブ
——商品説明とは別にあるタブなのですが、そこを詳しく見ると、
原産国や地域が記載されていて、どんな原料が使われているのかが
ちゃんと書いてありました。

書かれていた内容がこちらです。

原料 原産国
ベルガモット イタリア
スイートオレンジ ブラジル
クラリセージ フランス
ホーウッド 中国
スイートマジョラム エジプト
パルマローザ インド
ローズマリー チュニジア
ローズアブソリュート トルコ
プチグレン パラグアイ

 

これだけ多くの原料が使われています。

アルコールは不使用。学名や抽出部位、抽出方法もそれぞれ記載されています。

抽出方法を見てみると、ベルガモットやスイートオレンジは圧搾法で採られていました。

そもそも無印良品さんの精油は、あまり肌につけるものではないという認識で、
あくまで部屋の中で芳香浴を楽しむもの、という位置づけで扱われてきたと思うのですが、この点からもやはりお肌につけるものではなさそうです。

光毒性の有無についてもちゃんと記載があり、
「あり」となっていました。

先ほどのベルガモットとスイートオレンジが圧搾法で採られていることを考えると、
これは納得の表記です。
使用前に医師へ相談するよう、注意書きもされています。

無印さんのような、どこにでもある大型企業の商品で、
アロマセラピーを勉強したことがない方にも
インテリアとして楽しめるラインナップが展開され、
おしゃれなボトルやディフューザーが数多く販売されていることで、
アロマを楽しむ人が増えたのはとてもいいことだと思います。

ただ、こうして細かいところまで見ていくと、
少し注意した方がいいものも混ざっています。

店頭でそこまで確認する方は、おそらく多くはないでしょう。




「アールグレイのエッセンシャルオイル」という名前に感じた違和感

今回、この商品名——「アールグレイのエッセンシャルオイル」を見て
強い違和感を覚えたのは、やはりネーミングの部分です。

「アールグレイをイメージしたブレンド精油」と書いてあれば理解できるのですが、
「アールグレイ エッセンシャルオイル」と書いてしまうと、
原料そのものから取った100%のものであるかのような印象を与えてしまいます。

もう少し書き方を工夫していただいた方が、誤解は少ないのではないかと思います。

実際にレビューを見てみると、私自身はまだこの商品を嗅いだことがないのですが、
「クラリセージで紅茶を表現しているんですね」という書き込みがあり、
なるほどと感じました。

実際に店頭で嗅いでみて、アールグレイらしさを感じられるかどうかは、
改めて確認してみたいと思います。



「アロマオイル」と「エッセンシャルオイル」は違う

バラエティショップやインテリア雑貨店では、精油の表記の仕方がお店によってさまざまだと感じている方も多いのではないでしょうか。「エッセンシャルオイル」ときちんと表記されている方が、むしろ珍しいかもしれません。よく見かける「アロマオイル」という表記は、エッセンシャルオイルとイコールではないのです。

アロマオイルというのは、香りがついた液体全体を指す言葉です。たとえ天然100%の精油でなくても、合成香料や有機溶剤が含まれていても、アロマオイルと呼ぶこと自体は可能です。つまり「香りのついた液体」という大きなくくりの中に、天然100%で混ざり気のないピュアなエッセンシャルオイルが含まれている、というイメージです。エッセンシャルオイルは、日本語では「精油」と呼ばれています。

当店で扱っているのは、すべて精油、またはエッセンシャルオイルと呼ばれるものです。このアロマオイルとエッセンシャルオイルの区別は、お店側としても本当は徹底してほしいところなのですが、明確な規制がないため、どうしても表記が混在してしまっているのが実情です。

 

「エッセンシャルオイル ○○」という名前が持つイメージ

 

さらに、「エッセンシャルオイル」という表記には、単体の原料から作られているというイメージが伴います。

たとえば「エッセンシャルオイル ヒノキ」と書かれていれば、ヒノキ以外のものが入っているとは、あまり想像しません。そのエッセンシャルオイルはヒノキから取られたもので、杉やヒバなど他の植物は混ざっていない、というイメージが一般的です。

一方で「エッセンシャルオイル 高野山」のような名前であれば、高野山の周辺に自生するさまざまな植物を混ぜて作られた、ブレンド精油というイメージになります。この違い、伝わりますでしょうか。

こういった背景があるからこそ、無印良品さんのこのネーミングについては、もう少し改良していただけたらと感じています。

 

じゃあ、紅茶の精油ってないの?——実は、ある

 

ちなみに、アールグレイのベースになっている紅茶の精油は存在しないのだろうか、と思って調べてみると、実はあるようでした。

アロマセラピーを学んでいると、紅茶やお茶の精油はあるのだろうかとふと思うことがあります。ただ、店頭ではあまり見かけないので、存在しないのだろうと思ってしまいがちです。紅茶は水で抽出してエキスにして飲用するものというイメージが強く、精油は見たことがないと感じていたのですが、調べてみると、茶葉のブラックティーからエッセンシャルオイルが抽出されているようでした。スリランカ産のブラックティーエッセンシャルオイルが実際に販売されています。

緑茶もありました。グリーンティーエッセンシャルオイルというものが存在し、香りとしてはあまりお茶らしい感じではないようです。

国内で茶葉の精油をそのまま採っているところはほとんどないと思われますが、福岡県八女市では、ブレンド精油として茶葉と甘夏などを一緒に蒸留して作る取り組みがあるようです。お茶の産地ならではの試みなのかもしれません。ただ、茶葉は飲んだり食品に加えたりする用途の方がやはり多いため、精油にするというところまではなかなか進まないのだろうと考えています。

 

ちなみに「茶の木精油」で検索すると、危険です

 

「お茶の木」や「茶の木精油」で検索してしまうと、全く別の植物である「ティーツリー」がヒットしてしまいます。これは間違えると混乱を招くので、注意が必要です。

紅茶も緑茶も、同じ茶の木から採れています。私たちがイメージするお茶の葉が、発酵具合や製造方法によって緑茶になったり紅茶になったりするだけで、もとになる木は同じ茶の木です。原材料の学名はCamellia sinensis(カメリア・シネンシス)です。

 

カメリアオイル=椿油、だと思っていたら盲点でした

 

このCamellia sinensisで検索すると、実は「カメリアオイル」というキャリアオイルの方が多くヒットします。Camellia sinensisのオイルは、キャリアオイルの「カメリアオイル」として広く認識されているのです。

これは、お茶の実から低温圧搾方法で取れたキャリアオイルのことでもあります。茶の実油には私自身も注目しています。広島県などでコールドプレスにより、茶の実油を化粧品用のキャリアオイルとして販売しているところがあり、茶の実油にはキャリアオイルとしては珍しく、コエンザイムQ10が含まれていることもあります。

「カメリア」と聞くと、シャネルのイメージなどから椿を思い浮かべる方も多いと思います。実際、椿の種子から取れる椿油とよく似た性質を持っています。ただし、椿油と茶の実油とでは配合されている成分がそれぞれ異なり、それぞれに個性とメリットがあるので、使い分けることでより効果的に活用できます。

海外製のカメリアオイルは、このCamellia sinensisから取れている油であることが多いようです。これは盲点でした。カメリアオイルと聞くと「椿油のことだろう」と思い込んでいたのですが、世界的に流通しているカメリアオイルは、実はCamellia sinensis由来のものが多いのです。

ちなみに椿油の学名はCamellia japonica(カメリア・ヤポニカ)です。日本の椿、ヤブツバキから取れるものを指します。かなりややこしい話ですが、覚えておくと役立つかもしれません。

赤い花と黄金色のオイル入り小瓶

今日のお話をまとめると

今日お話しした内容を、改めて整理します。

  • 無印良品さんで、アールグレイのエッセンシャルオイルが発売された
  • ただし中身は、アールグレイの香りをイメージしたブレンドのエッセンシャルオイルだった
  • 「エッセンシャルオイル」という表記だけでは、原料が単体であるかのような印象を与えてしまうため、「ブレンド精油」と表記してもらえるとより分かりやすい、というのが個人的な感想
  • 紅茶の精油は存在するのかと言えば、存在した。スリランカ産で、紅茶(ブラックティー)のエッセンシャルオイルが販売されている
  • 緑茶のエッセンシャルオイルも存在する
  • 福岡県八女市では、茶葉と甘夏などをブレンドして蒸留する取り組みもあるようだった
  • 紅茶も緑茶も、同じ茶の木(学名:Camellia sinensis)から採れている
  • Camellia sinensisで検索すると、キャリアオイルの「カメリアオイル」がヒットする。カメリアオイル=椿油だと思っていたが、実は世界的にはCamellia sinensis(茶の実)由来のものが主流だった
  • 椿油の学名はCamellia japonica(日本の椿)で、Camellia sinensisとは別物

皆さんも、お茶の精油や紅茶の精油を嗅いだことがある、カメリアオイルはやっぱり椿油だと思っていた、など、いろいろな感想があるかと思います。コメントで感想をお寄せいただけると嬉しいです。


ご注意:この記事は、公開されている商品情報をもとにした個人の見解・情報提供を目的としています。特定の企業・商品を非難する意図はありません。

 

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